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松山油脂メッセージ

松山油脂の仕事はなんですか? と聞かれたとき、私は「石けんと化粧品をつくっています」と答えています。マスメディアや薬事法の区分では、石けんは化粧品の範疇に入るので、単に「化粧品をつくっています」と答えれば済むところを、わざわざ「石けんと化粧品」と説明しています。

仕事とは何か、について考えてみることは、とても価値があるように感じます。この問いに、「経営者として」「管理職として」「社員として」といった区別はありません。私たち全員にとって大切なテーマです。答えは人それぞれに異なるでしょう。正解はありません。同じ人でも、そのときの年齢や置かれた環境によって答えは変化していく。そういう類の問いかもしれません。

さて、「石けんと化粧品をつくっています」が私たちにとっては心地よく、「化粧品をつくっています」に違和感を覚える、その理由について考えてみました。単に化粧品とは呼ばず、「石けんと化粧品」と、石けんを先に口にするところに、私たちのこだわりが現れているように感じます。これまで私はモノづくりにおいて、「観察と創意工夫と手仕事」を大切にしてきました。言葉を換えれば、「見る・考える・試みる」という製造行為そのものに、大きな喜びや意義を感じています。製品がうまく出来るか否か、売れるか否かということよりも、モノが出来上がっていく製造過程そのものに興味がある、といっても言い過ぎではないと思います。

この考え方に立つと、石けんづくりは実に面白いのです。天然の油脂や脂肪酸を使って、大きな釜で、鹸化や中和という反応を利用しながら丹念につくり上げていくのですが、まず原料の選び方が難しい。それから、加熱や撹拌の方法、または季節ごとの気温や湿度の変化によって、つくり方や仕上げ方が少しずつ変わります。画一的ではなく、小さな創意工夫を求められる難しさが、石けんづくりにはあります。また、毎回新たな発見があり、そこからまた、新たな課題が生まれます。大量生産や工業製品の枠に収まりきらない面白さが、石けんづくりにはあるのです。

「仕事は、私たちひとりひとりを成長させるためにある」とするならば、結果にとらわれることなく、つくる過程と真摯に向き合っていかなければなりません。つくり手を成長させる、この一点において、石けんづくりは非常に適した仕事なのかもしれません。ボディソープやハンドソープなど、液体石けんの売り上げが年々伸びているのに反比例し、松山油脂でも、固形石けんの売上比率は下降し、来年には3割を割ろうとしています。しかし、その比率がどんなに下がろうとも、石けんづくりで培った仕事への姿勢を変えることなく、モノづくりに取り組んでいきたいと考えています。「仕事は、自分自身を成長させるためにある」と言い切れる、そんな会社でありたいと願っています。

2010年3月
松山油脂株式会社
代表取締役社長 松山剛己

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