SDGsへの向き合い方
松山油脂ができること、やるべきこと

Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であるSDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す、17項目の国際目標です。SDGsに関する松山油脂の取り組みは、まだスタートラインについたばかりです。社会の一員として何をやるべきなのか、また、私たちが独自にやりたいことは何なのか、試行錯誤を続けています。理想はスタッフひとりひとりがSDGsに関心を持ち、自分ごととして考え、行動を起こすことです。スタッフの総和が、SDGsの達成へとつながります。

2020年12月現在、322名のスタッフがいます。男性75名(23.3%)、女性247名(76.7%)という構成です。そのうち管理職は男性が27名(64.3%)、女性が15名(35.7%)となります。産休からの復職率はほぼ100%です。子育てだけでなく介護など、やむをえない事情で働けなくなることを防ぐために、働き方改革を継続しています。2019年には準社員のうち希望者全員を正社員として登用しました。また、定年は65歳ですが、雇用延長により、70歳代のスタッフ2名も力を発揮しています。

富士河口湖工場と山梨物流センターのスタッフは富士山の山開き直前の6月末と、雪が降る前の10月末の年2回、工場付近の山の清掃(旧登山道の清掃)をしています。富士河口湖工場のあたりでは、休暇休日を楽しむ方もよく見かけます。しかし、道路沿いをなかに入ると、放置されたゴミがあります。訪れた人に気持ちよく過ごしてほしい。山の清掃はそんな思いから始めました。一方、墨田本社・工場のスタッフは荒川クリーンエイドに参加しています。すぐそばを流れる荒川河川敷の清掃活動です。河川敷は近隣の人々の憩いの場であり、私たちスタッフにとっても会社の行き帰りを歩く、なじみ深い場所です。きれいにしようという思いは自然に生まれました。いずれの清掃活動も始めてから10年以上になります。ささいなことではありますが、継続によって自然環境と地域社会への意識を高めています。

山神果樹薬草園は徳島県の佐那河内村で2020年に本格始動した、松山油脂の最も新しい事業所、SDGsに関する松山油脂のフラッグシップです。柚子やすだちなど和柑橘の精油、飲料や食品の製造と、和柑橘の研究を行なっています。

徳島県は柚子やすだちの名産地です。柚子は全国第2位、すだちは日本一の生産量を誇ります。しかしながら、すべての果実を収穫できるわけではなく、木の先端に実ったために手が届きにくいものは放置されてきました。また、キズがついて出荷できない果実もありました。山神果樹薬草園はそれらを原料にし、価値のあるモノとして生まれ変わらせます。農家から適正な価格で買い取り、加工し、販売し、収益を上げて果実を買い取る、という価値の循環、持続可能な果樹農業の仕組みをつくり上げます。山神果樹薬草園の活動は農家の収入を増やし、雇用を創出するものでもあります。活気や賑わいを生み、村外・県外から人を呼び込む、新たな人が村に住み暮らす、ともに働く。そうすることで村がさらに活気づき、村外の人がまた村にやって来る。そのような人の循環も担いたいと思います。

山神果樹薬草園内の農園では除草剤を使いません。除草剤は植物の葉や根を弱らせるだけでなく、生物多様性を損ない、土壌微生物を減らしてしまいます。すると土が力を失い、耕しやすさや、水もちや水はけ、空気の通りやすさなど、物理性も悪くなってしまいます。そこで草生栽培を経て有機農法の準備を整え、生物多様性のある農園をつくっていきます。そして、最終的には自然農法へと切り替えていきたいと考えています。

最後に、廃プラスチック類の削減は松山油脂全体にとって大きな課題であると考えています。現在、多様なバイオマスプラスチック、生分解性プラスチックが開発されつつありますが、松山油脂では導入に至っていません。理由としては、現時点で私たちが入手できる資材はコストが高く、製品価格に反映せざるを得ない、ということが挙げられます。また、強度・色の再現性といった品質面や供給面の安定性が確認できないことも理由です。しかし、プラスチックの代替資材は徐々に進化しています。引き続き協力会社と連携のうえ、適材適所の資材探求をします。